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「木彫刻の町」古民家泊で職人体験

富山・旧井波町 ネットで評判、外国客7割

人口約8千人の富山県・旧井波町には200人以上の木彫り職人が暮らす。合併して南砺市となった今、職人の手ほどきを受けながら木彫刻を体験できる古民家宿が外国人観光客でにぎわう。今月8日、これまでの2棟に加え新たな1棟がオープンした。

「ベッド・アンド・クラフト」は、富山市出身の建築家、山川智嗣さん(37)が2016年に始めた。宿近くの工房で宿泊客向けに開かれる木彫りの体験教室が人気の理由だ。宿泊料は1万2千円から。教室は別料金だが、職人つきっきりで約3時間かけて箸やスプーンなどを作る。

宿も単なる古民家ではない。地元の彫刻家や漆芸家らが、棟ごとに内装を担当。雰囲気を残しつつ現代風にアレンジし、飾られた作品は購入もできる。客の7割は外国人で「映画監督やデザイナー、アニメーターなど芸術系が多い」という。

山川さんは中国・上海の建築事務所を辞めて14年、町に移住した。「身近に職人がいる環境で仕事がしたかった」と話す。ただ山間地にある町は過疎が進み、世界遺産五箇山の合掌造り集落に向かう観光客がトイレ休憩で立ち寄る程度。「井波の魅力を伝えたい」と自宅2階を「弟子入りできる宿」にした。

評判は主にインターネットで広まった。訪日客急増の追い風もあり、17年に豪農の旧家を改装。2棟は1日1組限定だが、明治時代に料亭として建てられた新たな1棟は3組まで受け入れる。

夕食は提供しない。代わりに近隣店舗を英語でも紹介するスマートフォン用アプリを作った。朝食は宿泊料金に含まれるが場所は町内のカフェ。ただ彫刻の木くずを利用した薫製料理を味わえる。「普通の古民家宿ではなく町全体を楽しんでもらう玄関口でありたい」と山川さんは語った。