瑚心すくいの地方創生が生き方を創っていく

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「ワーケーション」で地域に活気 企業の活用広がる

リゾート地で働きながら休暇を楽しむ「ワーケーション」が地域に活気をもたらしている。和歌山県では白浜町に続々と企業が集まり、南紀白浜空港の搭乗者数は過去最高となった。長野県や静岡県でも観光地に企業が拠点を置くなど、経済効果に期待が集まる。産業界から注目されつつあるワーケーションを今後どう定着させていくかが地域活性化のカギとなりそうだ。

南国を思わせる明るい室内。半袖シャツに短パン、スニーカーやサンダル姿の会社員がリラックスした様子でパソコンに向かう。5月から三菱地所が提供を始めたワーケーション用オフィス「WORK×ation Site(ワーケーション サイト)南紀白浜」だ。1日10万円(税別)で利用できる。

7月にオフィスを利用したのがコンサルティング会社のギックス(東京・港)。希望者が数日~数週間、東京などから出張して働く。同社の網野知博・最高経営責任者(CEO)は「リフレッシュできる環境で、5日かかる仕事が4日で終わるなど生産性が上がった」と振り返る。

三菱地所によると8月までで3社がこのオフィスを利用した。オフィスは白浜町が整備したIT企業用の施設の中にある。同町は2棟、こうした施設を提供しており、2棟とも既に満室だ。

和歌山県によると、県が把握しているワーケーションの県内体験者は2017~18年度で49社567人となった。増えるビジネス交流は地元に新たな活気を生んでいる。

「ワーケーションが追い風になり、空港の搭乗者数が伸びた」と声を弾ませるのは、南紀白浜空港を運営する南紀白浜エアポート(同町)の岡田信一郎社長。同空港の18年度の搭乗者数は約16万人で過去最高となった。ホテル運営の白浜館は7月、白浜町にビジネス客も対象にしたホテルを開いた。中田力文社長は「先日もワーケーションの視察で旅行客が宿泊した」とビジネス需要に期待を寄せる。

ワーケーションは全国に広がりつつある。八ケ岳を望む長野県富士見町のテレワーク施設「富士見森のオフィス」には7社が拠点を置く。そのうち5社が東京都内の企業だ。長野県は「信州リゾートテレワーク」事業として、観光地で働く人の呼び込みに力を入れており、軽井沢町など7地域を指定して施設整備などを支援している。「ビジネスチャンスの呼び込みや地域課題の解決につなげたい」(産業労働部)という。

NTTコミュニケーションズは軽井沢リゾートテレワーク協会(長野県軽井沢町)と連携、同町に8月、ワーケーション施設「ハナレ軽井沢」を設けた。1日15万円(税別)で貸し切り利用ができる。北陸新幹線軽井沢駅から徒歩3分程度に位置しており、同協会の鈴木幹一副会長は「駅前をゲートウェイとして人を呼び込みたい」と話す。

ワーケーションと体験型観光の組み合わせに意欲を見せるのが静岡県下田市。同市では不動産サイト運営のLIFULLが8月、サテライトオフィスと宿泊機能を持つ「Living Anywhere Commons伊豆下田レジデンス」を開いた。民間の取り組みが先行した格好だが、同市主導の施設も今後広げていく考えだ。同市総合政策課の鈴木浩之氏は「ワークスペースが安定供給できれば、次に重要なのがコンテンツ。下田の海に加えて、伊豆半島の観光資源を組み合わせた滞在プログラムを提供していきたい」と話す。

下田市は夏場に多い観光客を「通年型」に変える取り組みを進めている。海のレジャーを軸にしながら、釣り船の船長らが自ら指南する釣り教室などを呼びかけ、市がプラットフォームをつくる。こうした取り組みをワーケーションのPRに活用する。

地域に活気をもたらすワーケーションだが、いかに定着させるかが今後の課題だ。ギックスの網野CEOは「ネット環境と宿泊場所、移動手段が整っているかどうかが重要だ」と指摘する。企業の利便性を高めるため、和歌山県と長野県、静岡県下田市などは11月、「ワーケーション自治体協議会」を設立する。企業向けサイトを立ち上げるなどの取り組みを進める予定だ。

■働き方の変化が追い風

「ワーケーション」は「ワーク(働く)」と「バケーション(休暇)を組み合わせた造語だ。自然豊かなリゾート地で休暇を楽しみながら働くことで、創造的な発想が期待できるとしてIT(情報技術)企業などが注目している。

背景には企業の経営環境の変化がある。通信技術の発達で、職場にいなくても十分な成果を上げられる仕事が多くなった。すでに欧米などでは仕事場にとらわれない働き方が広まりつつある。政府が推進する働き方改革で、余暇の重要性が強調されるようになったのも追い風となっている。

リゾート地を抱える自治体にとっては、地域活性化につながる可能性もある。最も早く動き出したのが和歌山県で、2017年度から本格的にワーケーション事業を開始した。東京でフォーラムを開催したほか、PRビデオやホームページを作成。体験会も開き、実際に県内に滞在して働いた人から利点や課題などの情報を収集した。

長野県は和歌山県に問い合わせて研究を重ね「信州リゾートテレワーク」事業を始めた。静岡県下田市和歌山県から職員を招くなどして、今年3月に「下田ワーケーション研究会」を立ち上げた。

ワーケーションと同様の取り組みは神戸市や広島県福山市長崎県五島市など各地の自治体に広がっている。日本航空JTBといった観光関連企業では、社員の働き方として制度化する動きも出ている。(細川博史、北川開、安芸悟)

働き方の変化 追い風 和歌山から各地に波及

「ワーケーション」は「ワーク(働く)」と「バケーション(休暇)を組み合わせた造語だ。自然豊かなリゾート地で休暇を楽しみながら働くことで、創造的な発想が期待できるとしてIT(情報技術)企業などが注目している。

背景には企業の経営環境の変化がある。通信技術の発達で、職場にいなくても十分な成果を上げられる仕事が多くなった。すでに欧米などでは仕事場にとらわれない働き方が広まりつつある。政府が推進する働き方改革で、余暇の重要性が強調されるようになったのも追い風となっている。

リゾート地を抱える自治体にとっては、地域活性化につながる可能性もある。最も早く動き出したのが和歌山県で、2017年度から本格的にワーケーション事業を開始した。東京でフォーラムを開催したほか、PRビデオやホームページを作成。体験会も開き、実際に県内に滞在して働いた人から利点や課題などの情報を収集した。

長野県は和歌山県に問い合わせて研究を重ね「信州リゾートテレワーク」事業を始めた。静岡県下田市和歌山県から職員を招くなどして、今年3月に「下田ワーケーション研究会」を立ち上げた。

ワーケーションと同様の取り組みは神戸市や広島県福山市長崎県五島市など各地の自治体に広がっている。日本航空JTBといった観光関連企業では、社員の働き方として制度化する動きも出ている。